育休父さんの成長日誌
朝日新聞朝刊 家庭面 (毎週木曜)連載
脇田能宏担当分: 1997年10月2日〜1998年1月29日
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【妻の一言】
僕の育休生活を妻はどう感じたか。妻の育休と比べた感想を書いてもらった。
◇ ◇
一人目のとき私が育休をとることにしたのは、子育てのために会社を休むなら自分の方だとなんとなく思い込んでいたからです。
子供が生まれて、私は初めて「夫は会社、自分は家」という生活をしました。まだ近所に知り合いも少なかったし、赤ん坊は「アー」くらいしかしゃべらないので、話し相手はほとんど夫だけでした。でも夫は残業してくるし、帰ればごろごろ。近々共働き生活に戻るというのに夫が自主的には家事をしないのが不安だったし、なにより赤ん坊の「旬」をもっといっしょに味わいたかった。
それなのになぜか私は、夫に「早く帰って」とか「家事をして」とはっきり言えなかったのです。夫は「家でのんびりしていたはずの妻」が何でイライラしているのかわからない様子でした。私たちは同級生として出会って以来、いつも二人で同じ立場、同じ視点からものごとを楽しんでいました。だから、お互いの気持ちが違う方向を向いているのが私にはとても苦痛でした。
一方、夫は育休中でも私と違って、家事を山積みにしたまま子供と遊んでいたり、会社から帰った私にあっけらかんと「ごはん作って」と頼んできたりすることがありました。ずいぶんずぼらな主夫もいたものですが、おかげで家に帰るとイライラしていない夫に会えたし、子供もカリカリしていない親と過ごせました。家事が残っていても、二人でやれば苦にならないし、早く片付いて夫婦の時間もゆっくり取れます。
こういう生活が本当に心地よくて、夫婦の片方が我慢して抱え込むより、素直に分かち合った方がもう片方もずっと幸せになれるんだぁと実感しました。私は「主婦としての役割」にしばられていたけれど、こだわらずに我が家流の生活をつくっていく夫の方がかえって「主フ」向きかもしれません。あるいは夫婦共に育休を経験したことで、子育ての視点を共有できるようになった分、私たちらしい関係に戻れたということでしょうか。
◇ ◇
これでいよいよ育休も終わり。これから共働き生活の再開だ。
(電機メーカーエンジニア) | イラストを見る |
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