父親になったから何だ!

 彼女から妊娠を告げられるじゃないですか。父親になったっていう実感、沸きます?フツー、沸かないと思うんですよ。いきなりは。

 ところが、世間はあらゆる手練手管で父親の自覚を促してくるものだから、いいかげんうっとうしくなるんですね。伯母さんとか母親が「あなたも父親になったんだから、もうちょっとしっかりしなさいね」だとか、「これでお前も一人前」だとか。挙げ句の果てに厚生省なんか、「育児しない男を父とは呼ばない」なんてポスターまで作って脅迫を始めてます。

 「だから何なんだ」って思いませんか?彼女が妊娠した。何ヶ月かしたら幼い命があなたと彼女に托される。(ひょっとしたらあなただけに托されるかも知れない。)そりゃ、人間の命が托されるんですから、まー、それなりのことはやらなきゃいかんでしょう。でも、言ってみればそんだけのことじゃないですか。

 今まで、世間様はこの「幼い命」を盾にとって、というかそれに便乗して、「あれをしろこれをしろ」と言いたい放題母親達にいろんなことを押しつけてきたんです。「母乳じゃなきゃ子供の性格が歪む」「働きながら育てるなんて子供がかわいそう」「母親の言葉遣いひとつで子供は精神的に傷がつく」「育児次第でその子の人生が変わる」なんてね。一見関係なさそうに見えるかもしれないけど、医療とにたようなところがあるのね。「あなたのカラダのことでしょう!」とか脅迫して、本当に必要かどうかよく分からない検査をされて、本当に効くのかどうか良く分からない薬をあれやこれやと飲まされるでしょ?どうも、父親に対してもそういう便乗圧力が始まったのかもしれないんです。

 ここで書いておきたいのは、そういう訳の分からない、根拠も怪しい「父親はかくあるべし」という圧力からなるべく自由になりたい人へのヒントね。育児に正解なんてないもん。各自が一番良いと思ったことをやるしかないんだもん。ま、気を楽にして読んでみてください。

なんとでも育つ

 まあ、赤ちゃんがくりゃ育てなきゃいけない。フツーに社会で生活している人間として、そこから拒否しても始まんない。ま、楽しいからやってごらんって無責任に育児を薦めるんだけどさ。

 本当に楽しいのかって疑問もあるのかもしれないけど、少なくとも私は楽しかったよ。むろん、ストレスも溜めたけどね。でも、どうせなら楽しんでやった方が楽じゃん。だから自分でも楽しむようにしたし、人にも薦めることにしたの。楽しもうよって。

 もっとも、どうしても楽しめないっていう場合もあるかもしれない。母親でもそんなケースはいくらでもある。幼児虐待なんてことも結構起こっているらしい。父親だって似たようなことが起こるだろうね。そうなったら、こじらせないように出来るだけ回りにSOSを出すこと。赤ん坊にだって人権はあるんだから、あなたと暮らす生活がひどけりゃ他の人に育ててもらったほうがいい。

 でも、一番大事なことは、育児に関する思い込みをなるべく排して、気を楽にして育てることだと思うんだ。「かくあるべし」って父親や母親を縛っている呪縛が、どうも育児を楽しめなくしているような気がする。ま、こういう理屈って怠け者の言訳に使われがちなんだけどさ、育児に関して皆でカリカリしている現状をみると、怠け者くらいで丁度いいんじゃないのかなと思うよ。

 ま、ただ、何事にもカン所ってのがあってね、それを知っておくのは悪くない。盲従するのは危険だけどさ、知ってると役に立つっていうか。そーゆーことを書いておきたいと思ってるんで、よろしくっつーか。

住む場所ぐらい考えろ

 気を楽にして育てようっていったって、要点は押さえておいたほうがいい。要点ってのは楽になるためのポイントだと思って欲しいんだけど、私としては、それは住む場所と保育園だと思っているんだ。(共働きを前提に書いているんで保育園になってるんで、そうでない人は読み飛ばしゃいいよ。)

 よく言われるのは職場と家と保育園の三角形は小さいほうが良いってこと。通勤時間と保育園の送り迎えは短かければ短いほうがいい。楽だもん。引っ越して生活に余裕ができるならさっさと引っ越したほうがいい。あとは、頼りに出来るじいちゃん、ばあちゃんの存在ね。

 保育園もさ地域によってめっちゃくちゃ違うんで引っ越しのときは考えたほうがいいよいろいろ人に聞いておいた方がいいな。「え〜、そっちじゃそんなふうになってんのぉ?」ってな話がうじゃうじゃだから。

 あとさ、保育園は見学しといたほうがいいな。別にたいそうなことじゃない。平日は無理かもしれないけど、土日が休みの人は土曜日に保育園に行って「見学させてください」と言えばいいだけの話なんだから。「ダメ」っていわれたら、その保育園は相当問題あるので、やめといたほうがいいね。

育児を盾に開き直れ

 はっきり言って、育児をしながら働こうとしたら大変なの。残業三昧の会社生活とはおさらばしなくちゃいけないし、酒のつき合いも相当に削らなきゃやっていけない。出張も場合によっては出来ない場合があるし、夕方の会議も途中で退席しなきゃいけないかもしれない。転勤命令がきたら、どーする?

 そーゆーのをさぁ、真面目にこなす人もいたんだよ。スーパーウーマンみたいな人が。仕事は手を抜かず、母親業も完璧ってゆー信じられない人がたまにはいるの。でもね、みんながみんな、そんな働き方して体が持つ訳ないじゃん。

 育児なんてすげー大事な仕事じゃん。人間の命を育ててるんだもん。会社の仕事だって大事だわな、生活かかってるんだから。仕事が人生の生きがいになってる人なんかもっと大事だろうけど、育児と会社がどっちも大事な仕事であることには変わりはないんだよ。でも、体がもたないなら、とりあえずの優先順位をつけるしかないでしょ?

 でさ、新生児の育児なんてすぐに終わるの。続く乳児の育児も、幼児の育児も数年で終わっていくわけじゃない。後回しにできない、そーゆー育児をとりあえず優先するのって、ごく自然な考え方じゃん。

 「男にとって会社の仕事とは」なんて説教たれるオヤヂがいたら「あんた、人の命をなんだと思ってるんだ」って言ってやってもいいと思うよ。私が許す。私が許してどうなるものでもないけどさ。

赤ん坊を勉強?

 まー、初めて父親になった人で既に赤ん坊の育て方を知ってるっつーのはあんまり居ないと思う。で、誰に教えてもらうかって話だけど、まー順当に考えてあなたの母親、つまり生まれてくる子供のおばあちゃんなんかが手頃ですわね。でも、私の母親みたいに「あら、忘れたわ」なんてサラリと言ってのけるような役にたたない、おばあちゃんも居るんだけどさ。そうなりゃそうなったで、同世代の若い母親なんかから教えてもらうんだね。同世代の子育てしている父親に聞いてもいいんだけどさ、男の子育てなんて口ほどにはやってない奴が多いから、あんまりアテにできねーんだよな。若い母親たちとそう簡単に仲間になれないってんなら、しかたない。育時連のMLに来ればいいよ。

 ともかく、相談できる相手は確保しとくに越したことはない。本に頼りすぎると、融通が効かないマニュアル育児ってやつになるからね。まー、同じ歳頃の子供を持つ親同士でダベってるだけでもだいぶ違うんだよ。なんていうのかね、ダベるだけでも、自分のやってる育児を一歩引いて見るっていうきっかけにはなるんだ。

 知識ってのはね、自分を狭めるために使うんじゃないでしょ?広げるために使えるんだしね。でも、本に書いてあることにこだわってマニュアル育児してる人たちってのは、知識で自分を狭めてるんだよ。本を読むなとは言わない。本の知識を生かすためには、人とダベる必用がある。積極的にダベりなさい。そーゆーことを言いたいんだけどね。

家事が嫌なら

 まー、子供が生まれてしばらく、家事とゆーのはしっちゃかめっちゃかになるのね。容易に想像つくと思うけど。で、女性たちからの「家事もちょっとはやってよ」コールがかかるわけ。真面目な人は、そこで「俺も家事に取り組まなきゃいかんなぁ」てことを考えはじめ、家事が面倒な人は、そこで逃げを打つわけ。

 真面目な人はやればいいの。家事に取り組んでもらえればいいの。それで本人が幸せでパートナーも助かるんなら、こんなめでたい話なないでしょ?アドバイスとしては「ま、肩の力は抜いてね」という程度のもんかな。思いつめ過ぎて、ストレス溜めて疲れてもしかたないしさぁ。

 家事が心底面倒な人はどーするか?そうなりゃ、もー家事を省略するしかない。少々家が汚くったって、死にはしない。

 問題は、「いや、私は家事はきらいだけど、奇麗なところで生活したいし、きちんと洗濯したものを着たいし、おいしいものを食べたい」なんて奴だけどさ。そりゃ、家事を外注しなさい。家政婦さんでも雇えばいい。「でも金が無い」って?甘えんなよ。そこまで面倒見てられっか。自分に家事能力がなくて、金もなきゃ、それ相応の生活するしかねーだろーが。

 もうひとつの問題は、あんたのパートナー、つまり赤ん坊の母親が高い家事能力をもっていて、つまり料理も掃除もこなしちゃう人で、その高い水準をあなたに要求してきた場合ね。向こうも水準低けりゃ、「自分もできんことを人に押しつけるな!」で済むんだけどさ。

 ま、あなたと彼女の二人の問題だわな。彼女の要求に答えようとするか、開き直るかはあんたの考え方次第ってこと。どちらを選んだにしても責任はあんたが取るんだから。ただ開き直るにしても「俺はやればできるけど、忙しいから今は出来ない」なんていい訳はやめとけよ。みっともないから。そういう男で、やれば出来たためしが無いんだから。出来ないなら、出来ないと率直に認めること。能力はあるっていうなら、その能力を見せりゃすむこと。

出産現場は嫌?

いや、まあ、嫌だっていうなら強制はしないけどさ。

子供はペット

 ま、小さい子供はペットみたいなもんだからさ、可愛いと思うなら可愛がればいいんじゃないの?可愛くないならしかたがないけど。

おしめぐらい替えろよな

 まー、おしめなんてのは排泄物にまみれている訳だしさ、夜泣きなんてうっとうしくなり始めたら本当にうっとうしい。「俺にだって寝させろよ!」って言いたくなるの。でもさ、誰かがおしめを替えたり、夜泣きにつきあって睡眠時間を減らすわけじゃない。あなたじゃなければ、(たぶん)あなたの彼女が替えていたり睡眠時間を削ってるワケだ。

 それが平気なら別に言うことはないんだけどね。気になるなら、あなたがしたほーがいいと思うことをしたほーが、いーんじゃない?てゆーかさ。そんで、どーせするならイヤイヤするより、楽しんでしたほうが心の健康にはいいみたいだよ、って言っときます。そんなの理想論だけどさ。睡眠不足はどーやっても楽しめないもん。でも、気持ちの持ち方ってもんがあって、それでうまく行くならその方がいいでしょ?

よろしく

 以上、適当に書いたけどさ、まー参考になるのかならないのか分からない代物だよね。これって自分で読み返した感想なんだけど。でもね、こーゆー無駄話を父親同士がもっともっとすればいいと思うんだよ。そんで、こういう場所でも無駄口叩いてみたってこと。ここまで読んでくれてありがとう。君の赤ん坊によろしく。