ワーク/ライフバランス調査(2000年10月24日)

インタビュー対象:e-ワーク制度を利用している社員。筆者ほか4名。

調査をする人:「ワークフォース・フレキシビリティー」とかいう部署の人と、コンサルタント会社の人。

コーディネーター:人事担当

質問の内容:この制度を利用しようと思った理由、利用してみてどのようなところがよいか、会社にとってのメリット・デメリット、自分にとってのメリット・デメリット、上司や同僚の反応、評価への影響、よりよい制度のための提案など。

私が話したこと:
基本の発想「個人と会社が両方損をしない範囲であればいろいろできることがある」
入社してわりとすぐのころ、自宅のパソコンの方がずっと早くできる仕事があって、持ちかえって仕事をしてもいいか相談したとき上司がいった言葉。その後も、上司の裁量でかなり柔軟にやってこられたが、就業規則にないことをするのは何かあったときもまずいし、いつも通用するとは限らないので、日の当たるところに出られた意味はとても大きい。

柔軟な働き方を組みたてられると、自分が持っている能力、置かれている状況の中で、最大限のアウトプットを出して会社に貢献することができる。むしろ、限られた時間でこなせるように仕事を工夫したり、不在時にも緊急の仕事が立ち往生しないように周囲の人との協力態勢を考えたりすることによって、「私はこんな仕事をします」という新しい視点と価値をアピールできていると思う。

わりと一人一人別に仕事をしていることが多い職種のため、早く帰ることがあっても、上司も同僚もほとんど関心を払わない。ちゃんと仕事が済んでいればよいということ。もともとメールでの連絡が多い仕事なので「時差」があってもそんなに影響がなかった。

自分にとってのメリットは明白で、家庭の都合も仕事の都合も通す(折り合いをつける)ことができるのでストレスもたまりにくい。

これまでの育児支援制度(産休、育休、育児オプショナル勤務)と違ってキャリアや評価にほとんど影響なく、通常勤務と連続性がよいので利用しやすい。

会社にとってのメリットは、ある能力ある状況にある社員から、最大のアウトプットを引き出せるというのが第一。そして、e-ワーク制度と名づけて、対外的にも広報していくことで、会社のイメージアップにも貢献し、新しい働き方のヒントを社外の人にももたらすということ。

会社へのデメリットについていえば、実はこの制度が順調に発展してほしいという気持ちが強かったため、これまでかなり厳密に「会社の損にならない範囲」に限定して利用していたので私についてはおそらくほとんどなかったと思う。つまりはあまり柔軟過ぎる働き方はしなかった。

もっと柔軟な働き方ができてしかも「個人と会社が両方損をしない」ということを目指すならば、仕事の質と量をコミットして、実際に出したアウトプットに基づき的確な評価と処遇をする仕組みが必要になってくると思う。仕事にやや不便でも家で仕事をすることがあったり、仕事に割く時間が普段より短くなったりする年も、「このくらい働きます」ということを明確にコミットして見合った給料をもらうならば、長い職業生活の中でいつも、自分の状況に合わせて気持ち良く会社に貢献できるはず。

今は給料を下げる仕組みがないので、自分と周囲のモラルを下げない柔軟な働き方ということに一定の制限があると思う。多くの人が納得できる評価システムができていけば、e-ワーク制度は、単に育児支援の制度とは一線を画し、幅広い人々が利用して自分に合った形で仕事をするしくみに成長できると思って期待している。

私が中高年層に達するころには、制度がそのように発展していて、それこそ肩叩きも定年も必要ないような状況がありうると思う。

他の人の状況:

口を揃えていっていたのが、「この制度がなくても上司と相談してかなり柔軟な働き方をさせてもらっていたが、正式に制度ができてとてもよかった」ということ。もとから「個人と会社が両方損をしない範囲であればいろいろできることがある」という風土が会社にできていたのか、あるいはそういう風土がある部署の人がこの制度を利用しているのか。

その他もわりと似たようなことをいっていることが多かったのだが、人による違いがあるのが職種と利用度。職種により、また利用度により、実際アウトプットが減ることがあるわけなのだが、そのときのすっきりした扱いがまだ見えていないということ。

やっぱり、この質の仕事をこの量こなします、というコミット(とそれに応じた処遇)ができないという制約の話になってしまいます。量が少なかったからC評価ね、と決められるのでなく、普通だったらB評価、よくやったらA評価がもらえて、そして量の分の掛け算をしてもらうほうがずっと気分がいい。結果として昇給額が同じになるなら、会社にとってもずっと得になるだろうと口を挟みました。

e-ワーク制度:育児・介護中の社員が、在宅でも仕事ができる制度。職位、職種で制限あり。原則としては、仕事に支障のない範囲でやる。この制度を利用したからといって評価にはプラスにもマイナスにもならないと明記されている。社員に対しては両立支援策であると同時に、新しい働き方を社会に向かって提案してe-Businessのビジネスチャンスを増やすことも目的とされる。

想定されている利用方法:
定時でも保育園のお迎えに間に合わないため、早い時間に帰宅して残りの仕事は家でやる、保育園に入れないとき、ベビーシッターに来てもらうが、安心のため(あるいは授乳のため)家にいたい、など

実態としては、コアタイムのないフレックスタイムとして活用されていたりもする。

私の場合は:
・保育園の懇談会があって3時ごろ出たいが、その日家で残りの仕事をしたい場合。
・午後用事があって半休をとる予定でいたが、急なミーティングが入って2時までは会社にいることにして半休をキャンセル。足りない時間は別の日に埋め合わせ。
・お迎えがあるので定時にでなければいけないが急ぎの仕事を今日やってしまいたいとき。
などに利用しています。