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「男は忙しいから家事できない??」フォーラム記録 第二部

ディスカッション



 

ディスカッション

井口耕二

さっき、古川さんの発言の最後にあったテストの話を聞いて、それって、企業社 会でうまく使われているよなぁと思いました。会社の仕事には大量の時間とエネ ルギーを費やしています。これを「お金のため」と割り切っている一部の人をの ぞき、「ゼニカネじゃない」、つまり、「おもしろいからやっている」と思いた いようです。その結果、受け取るお金が変わらなくても仕事にのめり込んでいき ます。

退職時、部内で一番長い時間、仕事をしている人が同じ課にいました。私の送別 会で、彼が、「君を見ていて、昔は、自分も家族を大事にしようと思っていたこ とを思い出したよ」と言ったもので、課員みんな、びっくりしました。だって、 「そこまでしなくていいじゃないか」と言われながら、毎日夜中まで残業し、土 日も出てきて仕事をするという人だったんですから。この人は極端ですが、

お父さんたちの家事・育児についても、このテストが応用できるでしょう。我が 家の子どもたちが通っている保育園では、お父さんたちの交流会というものを園 が主催して行います。ここで、あんなこと・こんなことをしているって話が出る んですが、それを言ってしまった人は、たぶん、していることをつまらないとは 思いたくなくなるでしょう。一方、それを聞いた人は、「みんながやっているな ら……」と分担に対する抵抗が小さくなるだろうと思います。

「どうしてやらないのよ」と叱りとばすよりも、こういう方法のほうが反発が少 なく、次第に引き込んでいけるんじゃないでしょうか。今、何もしていないお父 さんも、他のお父さんからやっている話を聞けば「自分もやらなきゃいけないか な」という気になりやすいでしょうし。

会場(宮崎県・男性) フルタイムに戻って、夫婦の関係がよくなったり、そういうことはあると思う が、子どもにとってはどうかという面が気になる。
脇田

子どもと接する時間といっても、いい時間を過ごせるときもあるし、そ うでないときがあると思います。私がじめじめした喧嘩しかできないような時期、 つまりは夫に対しての不満があるわけですが、子どもが相手をしてほしがってい ても、なんで私ばっかり、という気持ちを切り離してゆったり接することができ ない。

けっこう子どもは敏感にそれを感じるもので、かえってまとわりついてきたりす るんですよね。それを、けちらしながら「夫がどうせやらない」家事をする。 やっぱり、例えば傍らでもう一人いて家事をしていたとしたら、子どもと楽しい 時間を過ごせるというのがあって。

夫婦の関係のよしあしというのは、子どもへの接し方のよしあしと直結してしま うのです。私は心が狭いので。

会場(宮城県・女性)
  • 定時に帰るというのがありましたが、それは、家事をするために無理に 都合をつけて帰ったのか、それともそういう職場だったのか。
  • 育休の1年間、早く仕事に戻りたくなる人もいれば、子どもと離れたく なくなる人もいる。わきたさんの場合、どうだったか。
脇田

腰掛けのつもりだったので、まぁ楽に過ごしたいと思って、営業や開発 をさけて研究職を選びました。時間の中については、別にさぼろうということで はなくて、数年であってもその間楽しめるほうがいいので、定時の中ではまじめ にやったつもりではあります。

実は現在もほぼ定時で帰っているのですが、今は長く勤めるつもりでいるので、会社に自分なりの視点で価値を提供していきたいというのと、自分の生活を大切 にするというのと、両方を考えています。両方の都合に合わせて、ある日は遅く、 ある日は早く帰って、一ヶ月トータルでは定時。

というわけで、当時も今も定時ではあるけど、その中身はちょっと違います。

二点目ですが、私はもう家で子どもと二人向き合っているのに耐えられなくて、二度と育休取りたくないと思ってしまいました。でも自分でそういうタイプだということは事前にはわかりませんでした。やってみないとわからないところが怖い。

会場(千葉県・男性) 通勤が片道2時間です。この状況では「家事育児を平等に分担」は できません。ジェンダーフリーが目標ならば、「家事育児の分担」に こだわるのでなく、家事育児労働を正当に評価する、お金を稼ぐ労働も 家事育児労働も同等に重要である、と評価すればいいのではないか?
会場(大阪府・女性)
  • 産婦人科医ですが、医者の世界を見ると、男性医師の妻の80%は専業主婦です。 女性医師は男性医師と同様に働きながら、家事責任も負っている。 同じ現状の中で、女性はなんとか育児をやり、男性は家に帰ったらくつろ ぐということが実際に多いのはなぜだろうかと考えると、男の子はお母さんに 守られて「勉強さえしていれば」と育てられることが多い。女の子は「勉強」 もするんだけど、家事的なこともするべきだと小さい頃から刷り込まれるから だと思う。アンペイドワークを評価するというだけで良いのだろうか?
  • 密室育児ということで近頃少しずつ問題にされつつはあるが、 まだまだ「母親が子育てをするのが、ホントは一番いい」と考えてる人が 多いようだ。なぜだろう。専業で子育てをしている人の中には、もちろん うまく子育てしている人もたくさんいるが、「子どもの言うことを聞くのが 母親の仕事」みたいになってる人もいて、疑問を感じる。
会場(千葉県・男性)

うちは共働きで、通勤時間も同じくらいで、ぼくが家事育児をしないとい う理屈のつけようもないんです。なんでも両方でしますし、ただ単にふつうのこ とという感じです。夫婦の就労形態があまりに違うと、お互いのことを 理解するのは難しいように思います。

男の僕が育てても、子供は普通に育ってます。

脇田

幼児がいる家庭の専業主婦のグループのフォーラムに参加したことがあ るのですが、そこでの趣旨は、役割を変えたいということではないけれど「夫に、 育児家事もたいへんなんだと認めてほしい」というものでした。では夫が、「誰 が養っていると思ってるんだ」とかいってるのかというとそんなことはなくて、 口では「育児も大事な仕事だよ」とかいってくれるわけですね、いまどきの人で すから。じゃそれでいいのかというと、「あなたはぜんぜんわかってない!」と 不満があるんです。確かに実際わかってなかったりするんですが。

でも、実際わかるには、あるいはわかってもらってると実感するためにはどうす ればいいかっていうと、結局体験してみるしかない。ああこうなんだ、という具 体的な積み重ねがあってはじめてわかるし、わかってもらえたということになる んですね。

夫婦の分担は、話し合って決めればいいことですが、わかりあって話し合う土台 として、体験してみないと実際には難しい。

会場 夫が育休を取ったそうだが、とりやすい職場だったのだろうか。それと、 復職したときどうだったか?
脇田

男性の育休は前例がなかったので、とりやすいかどうかはやってみるまでわからなかった。実際に復職してみたら、昇格の遅れなどもまったくなく、かえって「まるで休まなかったよう」だったのが不思議でした。

実は他社でもそういう話があって、数が少ない分男の育休は目立つので、なにか問題にされないように、「自粛」する。女性が取ると遅れるのに、男性は「そっとしておく」ということです。もちろん、逆の会社もあります。

会場(埼玉県・男性)
  • 同じ時間家事育児をしている男性が2人いても、配偶者の 「やってる・やってない」認識には差が生じるようだ。 それぞれの生活形態によって、分量だけで一概には言えない。
  • 法律や制度でタガをはめていかなくてはダメだと思っていたが、時間的な余裕 だけできても、それが家事・育児に直結しないことが、今日の発表でわかった。 問題を単純に考えていたが、どうしたらよいのか、かえってわからなくなって きた。
会場(宮城県・女性) 家事育児に関しては、その人の労働形態や地域環境によって 違いが大きくて、何が良いのかはなかなか一概には言えないのではないか。 お互いが自由に選べれば、良いのではないか。
会場(女性) 少子化の世の中で、片働きで暮らして行くのは無理になるだろう。そのような 中、男性を家事・育児に向かわせるには「意識よりも現実」という話であった が、どのようにその現実を作ってゆくか、具体的戦略をもう少し聞きたかった。
会場(大阪・女性)

民族社会学の研究をしていて家事についても調査をしている。 まず、夫婦が対等なテーブルにつくのが大事であり、そこからここの分業形態 を作りだしてゆけばよいのではないか。

社会学の研究をしていて家事についても調査をしている。 「男性がなぜ家事をやらないのか」の理由としてトレンドは

  1. 時間という資源の問題
  2. 家事にも、遅延が可能か不可能か、毎日のことか稀なことか、家事自体の マネージメント業務等、いくつもの分類ができ、分けて考えるべき。
  3. 育児では、夫婦のみでない地縁ネットワークを視野に入れる
という新たな視点が出てきているようだ。
小黒 男の育児「参加」、とか家事「分担」という言葉がよく使われているけれど、 それが言葉としてよくないと思う。

参加とか分担というと、自分が担当しない部分の責任は一切ないような感 じだし、主体的にやるというのではなく、割り当てられたからやるという 感じになってしまう。

(家事はまだ分担という言葉でもなんとなくいいかもしれないが、こども を半分に分けて右側と左側を別々に育てることは出来ない。)

育児や家事は、実際に作業することは分担してやるにしても、気持ちの上 では100%の責任があるということを前提にして、その上で作業は分担 するという意識の持ち方でないとだめだと思う。

だから、分担・参加という言葉でなく「共有」という言葉をキーワードと して使ったほうがいい。

井口(耕)

個人的には、「男にも専業主夫になる自由が欲しい」と思っています。今の男性 には、嫁さんに外で働いてもらって自分は家事に専念するという自由はないに等 しいんですよね。もちろん、法律で禁止されているわけではないから、やってや れないことはないけど、社会的にとっても厳しいプレッシャーにされされてしま いますから。

男だって自由に専業主夫が選べる。一方、女性だって、専業主婦でも仕事でも自 由に選べる。そんな社会だったらいいなと思うわけです。

あと、男女共同参画と言いますが、それはなにも、1億2000万総男性化である必 要はなく、専業主婦・専業主夫という形式を通じた社会参画だってあっていいは ずだと思います。

その際に問題となる点として、まず、自分の道を自由に選べる社会であるかどう かがあります。それと、マッチング。専業主婦をしたい女性と専業主夫をしたい 男性が結婚したのでは、生活に必要な稼ぎが得られません。一方、専業主婦・主 夫を得てガンガン仕事をしたい男性や女性が、自分も働きたい女性や男性と結婚 したのでは夫婦間の軋轢が激しくなります。この辺りについては、嫁さんがちょ っとおもしろいデータを見つけたらしいので、紹介してもらおうと思います。

古川

通勤時間が長いから、法も含めて制度が整っていないから、 だから「今はしょうがないんです」で済ませていては、結局何も 変わらない。誰かが変えてくれるまで「環境が変わったらやれる んですけど」と言って待ってるだけでいいのか? 専業主婦持ちの24時間働ける男性ばかりの職場で、もし今日「制度」が 変わったら、明日から問題は解決するのか? そうは思えない。

今はゲリラ作戦が必要。できるところから姑息でもいいから工夫をしつつ 職場に家庭責任を持つ女性や男性が一人ずつでも増える事、 それ自体が力になっていく。


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