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→ 保育園の早期教育ってどう思う?

HP掲載 2007 1/14

教えて! 保育園の早期教育

 子どもは0歳から保育園へ預けて働いております。今年で3歳になります。0歳か ら2歳(3歳の誕生日)までを預かる保育所に入園することができました。家庭的な 雰囲気で食事も手作り、園庭もあり理想的な環境です。

 しかし、最近、都の認証保育所になりました。変わったことは保育内容です。特に 「知育」に力を入れだし、以前の保育内容とはがらっと変わってしまいました。曜日 ごとに課題が決まっていて「ことば」「数」「色形」などのプログラムが計画保育と して組み込まれており、さらに驚いたのが「英語」でした。もちろん歌や踊りを取り 入れて楽しく英語に親しめるような感じですが、わが家では「早期幼児教育」を求め ない立場でしてこのまま教育の熱が加熱してしまうのがこわいのですが、園に申立て するにも、どのような感じで伝えたら良いか悩めるところです。

 認証保育所になる前は「わらべ歌」や昔の遊びを取り入れていて、私としては英語 をやるよりも、そうした遊びや手遊びからだを使った遊びを多くしてもらいたいので すが、「保育園の幼稚園化」の流れがあるのでしょうか?

 子どもには国際人になってもらいたいとは思いますが、親が英語を使ってないと身 に付くのは難しいとかネイティブでない人の発音を身につけるのはよくないといった 意見も聞きます。他の園ではこういう「知育」教育はどのようなかんじでしょうか?

教えて頂けましたら幸いです。

下手なことしてもらっても…

うちの公立保育所では、プログラムに基づいた知育らしきものは皆無です。私も早 期幼児教育は求めませんが、来年、小学校にあがるので、文字や数など少し は取り組んでくれたらいいのに、と思っています。

しかし、もし今の保育所のスタッフのままで英語を導入するとしたら、断固反対します。時間の無駄あるいは弊害になると思うからです。最近は、幼児むけの英語教室も盛んですが、通わせている知人の話では、ほとんど意味がないけれど、自分が英語で挫折したから、お金を払って週に1度通わせているだけで、なんとなく安心するということでした。日本の英語教育のまずさは中学校、高校ですでに指摘されているのに、さらにその害を広げることもないのに、と思います。

英語はコミュニケーションツールにすぎないので、その言葉を使って伝えたい内容がなければ仕方ないと思います。まず、自分の頭で考え、自分の意見をもち、コミュニケーションの方法を身につけることが、まず大切ではないかと思います。

綺麗な発音はネイティブでないと、まず教えられないでしょう。それに、発音はいいに越したことはないでしょうが、綺麗な言葉を話すことより、内容のあることを話すほうが将来ずっと役に立つのでは?

そういう意味では、野放図に見える保育所のような過ごし方のほうが、かえって自主性が育つかも、などと思うこともあります。

「特色を出す」という方向性がね〜

う〜ん。(早期教育導入が)認証園保育所になったことと関係あるのかどうかはちょっと知りたいですね。うちも、第三者評価とかのからみがあって「他からの目」を意識するように年々なっているんですが、そのような緊張感がよいほうに向かうとも限らないような危惧を持っています。

もちろん、通常の意味で早期知育が認証保育所の条件になっていたりすることはないでしょうが、特色を出そうとしたとか、きちんとした内容で保育をしていることをわかりやすくしようとしたなどの意味で。

うちが通う園は、知育派ではまったくなく、かといって幼児の文字教育を避ける派でもなく、ふつう?!です。

年中さんのとき、クレヨンでいろんな線を描くワークをやっていたり、年長ではひらがなのワークもやっていたことがあります。私としては別にそういうことをしてほしかったわけではないけど。

先生によれば、たまたまお手紙ごっことかがはやったクラスで、字の読み方や書き方を聞かれたりすることが多かったので用意したとのことでした。そういえば上の子のときはひらがなワークはなかったと思います。なりゆきなんでしょうかね。

外部から先生を呼んで「造形教室」「体育」などの枠を設けているところは幼稚園的といわれてますね。

以前、絶句した経験が…

私が実際に見に行ったことのある駅型保育園では「2歳児の算数」や「5歳児の作文」「中国語」「英語」などがあり、絶句したことがあります。

よく「小学校に入ったときに困るので、保育園でも少しくらいは文字や数字も教えてほしい…」という声も聞きますが、保育所保育指針を忠実に実行していれば、それは幼稚園学習指導要領を網羅しているので、公立幼稚園なみの幼児教育は行われているはずなんですが。しかも「公立」なら。

本来は年中、年長児は生活の中で、先生たちの言葉かけの中で「時計」を見せたり、かるたやお手紙ごっこなどで「文字」に触れたり。「数」の概念みたいなものにふれたりすると思います。

もう卒園した上の子の場合は、ひらがなのワークはないけど、小学校に入るまでに自分の名前が書けるようにしていたような…。下の子はまだ年中なので、そのレベル(?)には達していません。もちろん!「英語」や「中国語」「算数」はありません。

上の息子の時はクラスでビートルズが流行り(息子が流行らせた!?)、みんなで英語のCDを聞いていたようですが。

ただ、こうした「保育園の教育力」を、就任してから半年もたつのに知らなかった「保育園担当の」課長がいる自治体もあります。「幼稚園の教育を受けさせたいという保護者の方もいますから幼保一元化を」なんて、言っちゃう…

教育を望む親もふえているみたい

私のところも公立園ですが、(年長クラスでは)年明けにお昼寝がなくなるのと同時に文字ワークを使った「ひらがな練習」が始まります。名前くらいは書ける、数字くらいは読める程度です。

娘が1年生になった年に指導要領が改定され、最初は「あら?簡単」と、思ってみていましたが(鉛筆を持ってジグザグを書くとか、数字も10までしかやらない)、2学期になったとたんに漢字やら100までの足し引き算やら、とにかくスピードが速かった。正直言って、すでにこの時点で「落ちこぼれ」を製造しているのか?と思いました。

いいのか悪いのかは別として、わが家では「聞かれない限り教えない」ことにしています。だから、聞かれれば噛み砕いて説明するけど教えることは全部塾にお任せです。時間を合わせて送迎するのは確かに大変なんですけど、娘の1年生を見ていた母としては、(下の子は)少しでも最初の苦労は和らげてあげたいなあ?というのが本音です。

ちなみに保育園では、安全に遊んでくればそれでよし! です。それでもやっぱり「教育」を望む保護者はとても増えているんでしょうね。

知育モノはいっさいだめというのも…

 うちは認可の駅型保育園です。無認可の頃から月に2回英会話教室から先生が来ています。大きい子が中心のようですが、時間を少しずらして小さい子も対象にしているようで、0歳の時からおんぶされたりしながら参加(?)しています。

私は早期教育にはどちらかといえば反対ですが(漢字や計算が1年や2年早くできたからって、ねえ…)、といって一切知育モノはダメ!ということもないので、今まで特に意識したことはありませんでした。逆に既製の玩具やテレビを一切禁止する「自然な育児」とかもやりすぎのように思うし…。ちょうど言葉を覚え始める時なので、「こんにちは」と一緒に「ハロー」も覚えるくらい毒にも(薬にも?)ならないでしょう、という感じです。リンゴを指差して、「アポー」とか言うのなんか、ほほえましい「芸」のレベル…。

「出来ぐあい」を評価されたり、子どものストレスにならない、遊びの範疇でたまにやる程度であれば、まあてきとうに…という心境です。

強いていえば、園庭が隣のビルの屋上という環境なので、英語の予定があると晴れた日でも(小さい子のクラスは)散歩の時間がなくなってしまうのが難点といえば難点です…。

うちの小学校はのんびりムード

長女がこの3月まで帳っていた保育所(公立)では、3歳児クラスから月刊誌を とっていました。同じようにシールをはったり、若干の工作がなされたりして いる程度でしたが、たまにはみんなで読んだりしていたみたいです。

うちの長女も1年生になって、何度か授業参観に行きましたが、"え?、こんなに 丁寧に教えてもらえるの?"というくらいゆったりとした授業を受けていました。ひらがなも数字も一文字ずつ勉強していましたし、実際に保育所で字を教えてくれることはありませんでしたが(ただ、年長児の後半に一時"お手紙ごっこ"が流行り、子どもたちが"これはどう書くの?"と先生に聞いて教えてもらっていたことはあったようです) まったく問題ありませんでした。

ちなみに隣の学区の小学校は勉強、勉強で1年生でも夜10時くらいまでかかるような量の宿題が出て、夏休みに子どもたちには補習、保護者には"家庭学習講習会"なるものが行われ、運動会もその競技のそのほとんどが練習のいらない"徒競走""リレー"の類いだったとのこと。

どちらがいいかは一概に言えませんが、うちの長女に関しては、勉強も比較的きちんと教えてもらえて、季節の行事も学校一丸となって取り組んでいる学校でよかったね、と夫と話をしています。

毒にも薬にもならないのなら…

英語の早期教育という点でいえば、今話題のイマージョン方式(英語で国語以外の授業を行う)による公立の小学校が群馬県の太田市で始まります。カナダでは基本的に同様にしてフランス語を意図的に習得させています。公用語が複数なのも大変なんですね。

そのような意味では月に5回程度の小学校の英語教育も同様で、それならば基礎学力の定着に時間を割いたほうが…という意見も頷けます(このへんの議論は2004版「日本の論点」などに展開されています)。日本人が近い将来、英語圏での仕事、生活を想定して教育に取り組んでいくのか、これは長期的かつ国家的な判断?が必要ですね。

その上でもやはり、母語での学習習得が出来なくては本末転倒なのは言うまでもないです。子どもの教育は非常に商業主義的に利用されていますので、公的な場所ではきちんとした、方針や目的をもって欲しいと思います。

毒にも薬にもならないのなら(?)早期教育ではなくて、子どもたちがほんとうに楽しめるようなことや、生活の中で時間や数、文字を身につけさせることに、工夫した保育をして欲しいと思います。

私は積極的になれないな〜

小学校入学以前に英語教育などの早期教育を施すことには、積極的になれません。私もまずは母国語で「考える力」を育てることが第一と思っています。国語以外の教科を英語でやったところで、それに対応する日本語は身につくのだろうか、と疑問に思います。

ただ、週に1回でも小学校で英語に接することで、中学校で英語の授業に抵抗なく入っていけるのであれば、それはそれでOKかな、と思います。私は決して小学校の英語の授業でぺらぺらになるとは思っていませんし、発音が良くなることも期待していません。子どもが英語に興味をもってくれて、また偏見のない(少ない)ときに日本人以外の人と接して、いろんな人がいるんだ、と思ってくれればそれで十分だと思っています。

うちの息子は、毎朝NHK教育TVの「英語であそぼ」をみて"Niceto meet you"とか言ってるかとおもうと、その後の「にほんごであそぼ」をみて「ややこしやー」とかやってます。そんな様子をみると、子どもは英語も日本語も、どちらも同じように「おもしろいことば」とおもっているのかな、と思います。「英語、英語」と構えてしまうのは、大人のほうかもしれません。

専門家に意見を伺ったのですが…

認証保育所になったこと、第三者評価をきっかけに知育的な保育が始まったという話、ショックです。私も別の評価機関にかかわっているので、そういうことのないように意見を上げていきたいです。

私自身は、幼児期は遊びを通してたくさんのことを学んでいくものと考えていますし、保育所保育指針のスタンスはよいと思います。幼稚園の教育要領も保育指針と同様の視点をもって作られているはずです。

ただ、教育的観点があまりにも薄い保育園があるのも確かで、できれば、文字や数字なども、遊びの中で子どもたちが自然にかかわり、興味をもっていく環境をつくってほしいと思っています。その点、私がお世話になった保育園は、いろいろ文字を書いたり数をかぞえたりする場蔓を意識的に遊びの中でつくり出すようにしていたと思います(園全体の遊び行事や、個別の遊びについても)。

英語については『小学校に英語は必要ない』(講談社)の著者の茂木(もてぎ)弘道さんに話を聞いたとき、とても納得したことがあります。かいつまむとこういうことです。

  • 言葉は、シャワーのように大量にあびることで、習得する。母国語はそのように得するものだ。
  • だから、幼児教室や総合的学習で毎日一時間程度外人が話しかけたからと言って英語力が身に付くことはありえない。
  • まわりが全部英語の環境にいれば、大人でも自然に日常会話英語を身につけられるが、そうやって身につけた英語は現場を離れるとすぐに忘れてしまうものだ。帰国子女も数か月日本で英語を使わずに過ごせば話せなくなる。(だから早期英語教育は無意味)
  • 仕事に使える英語力というのは、日常会話とはまったく次元が違う。日本人がこれを身につけるためには、文法をきちんと学ぶ「受験英語」をしっかりやることだ。ネイティブの人間だって、「国語」(英語)を学習して初めてビジネスで使える国語力を身につけるのだから。
  • 中学校以上の英語教育において文法を軽視して、日常会話を重視しようとする英語教育には、非常に疑問だ。
  • それ以上に大切なのは、論理的な思考力だ。日本人であれば、日本語をきちんと身につけることが非常に重要だ。乳幼児期は、国語でしっかり考えられる基盤を作る時期。不自然なことはやらないほうがいい。(不自然なこと:英語のテープを一日中聞かせるなどのこと)
ということでした。

私は、日本語を覚える時期の子どもが「りんご」という言葉を概念化する段階で、それを「アポー」と訂正するような保育者の関わりには非常に疑問をもっています。また、「文法」の話は、まさに子どもの中学英語を見て感じていたことです。習い始めに「be動詞」という分類を教わっていないのを見て、驚愕しました。英語で生活する環境にいないのだから、未知の言葉はある程度論理的に分類して覚えなくては覚えられないのに、その知恵がないのは困ります。いずれにしても、子どもの思考力がある程度育ってからの話で、乳幼児期には、将来そういう勉強に取り組める意欲や自信をこそ育てる時期だと思います。  また、創作活動において、既製のシールなどを使うのはあまり好きではありません。そういう大人のお仕着せが、子どもの自由な発想をつまらなくしてしまうということは確かにあると思うからです。(それは作品がつまらなくなるという意味で、子どもの才能をつぶすとまでは思いませんが)

園庭で二才児(?)が絵の具を画用紙にダイナミックに塗りたくって遊んでいた保育園の風景がなつかしいです。

ちなみに、脳科学者や小児科医が、乳幼児期にテレビ・ビデオ、フラッシュカードなどの受動的一方的な刺激を長時間与え続けると、失語症になる場合があると警告しています。

何が「ふつう」なのかが見えにくくなっている世の中ですね。


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