2006.11.26改定「民営化のための最低条件10か条」
<改定部分の新旧対照>

 茶色字は変更・追加部分です。

[全体の用語について]
保育園を考える親の会では、従来、「民営化」を「民設民営化」に限定して使用してきましたが、一般的な使われ方に合わせて、今後は、民設民営化、公設民営化(民間委託、指定管理者制度)のすべてを包含するものとして「民営化」を使用すべく、定義を変更することにいたしました。

(全体タイトルの変更)
子どもたちのために民間委託・民営化に求められる最低条件10か条
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子どもたちのために民営化に求められる最低条件10か条

(前文に追加)
■この10か条は、2003年11月に発表して以来、保育園保護者、行政担当者、保育園職員、保育事業者など、各方面で指標として参考にされてきました。役割が非常に大きくなっているという認識から、2006年11月、現状をふまえた多少の修正を加え、「民営化に求められる最低条件10か条」として、一部改定するものです。

(2条 解説)
…具体的にどのように使うのか、利用者および市民に開示されるべきと考えます。
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…具体的にどのように使うのか、自治体の保育施策・子ども施策のグラウンドデザインともに住民に開示されるべきと考えます。

(3条 タイトル)
3 利用者が安心できる説明と意見の聴取を→3 早期の計画公開と利用者が安心できる説明・意見聴取を
(3条 解説)
<追加>→なお、スムーズな移行のためには保護者同士が情報交換や意見交換をし、子どもにとっての保育園のあり方についてともに考えられることが必要不可欠です。行政は、保護者の会合や親睦のための場所や連絡手段などについて協力し、保護者の支援を行うべきです。

(4条 解説)
それでは現在認可保育園に求められているさまざまな支援機能を担える組織とはなりえないでしょう。なお、この場合、一部の献身的な奉仕者による良質施設を例に挙げて反論することは適正とは言えないことにご留意ください。
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現在、契約や派遣など保育士の有期雇用がふえる実態はありますが、保育士を専門職として継続的に雇用し育成していくことができてこそ、現在認可保育園に求められているさまざまな支援機能を担える組織になりうると考えます。

(5条 全体)
5 受託業者の選定は適正に
 民間事業においては、事業者による質の格差が大きいことを認識し、受託業者の選定は慎重に行ってもらいたいと思います。移行後の保育内容や経営について条件をつけて募集する、公正な選定基準等を設ける、選定基準や選定プロセスを公開する、選定委員会などをつくり専門家や現場経験者の目を入れ、利用者も参画させるなどを、十分な時間をとって行うべきと思います。
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5 事業者の選定は適正に
 民間事業においては、事業者による質の格差が大きいことを認識し、事業者の選定は慎重に行ってもらいたいと思います。移行後の保育内容や経営について条件をつけて募集する、公正な選定基準等を設ける、選定基準の骨子や選定方法を公開する、選定委員会などをつくり専門家や現場経験者の目を入れるなど、十分な時間をとって行うべきと思います。公募の範囲や条件や選定方法の検討には、利用者の意見も取り入れ、関係者が納得できる選定になるように配慮することが必要です。また、選定の結果、現在の公立保育園以上の水準の保育を行うだけの資質を有する事業者の応募がないと判断された場合には、利用者や住民の利益を優先し、民営化を延期する必要があると考えます。

*変更理由:応募者の事前活動、事後への影響を考えると、選定にかかわる詳細情報をすべて公開することが必ずしも「よい選定」につながるとは限らない点を配慮した。保護者が選定委員会の委員となることには、選定の透明性を高める効果はあるが、守秘義務・代表性の問題など、保護者の間に賛否がある。個人に責任がかかる選定委員参画ではなく、応募事業者の見学会や質問会などを開いて保護者が参画するしくみをつくっている例もある(ただし、応募事業者名は部外秘)。

(6条 全体)
6 子どもの負担を最小限にする努力を
 保育園は幼い子どもにとって第二の家庭であり、慣れ親しんだ保育士がいっせいに入れ替わることは、大きな心の負担になります。子ども、そして親にもやさしい、ゆるやかな移行がされるように、引き継ぎ保育は当然として、移行後も一定期間、一定数の公立園職員の継続派遣、非常勤職員の継続雇用など行うなど、十分な配慮と準備期間の設定、そのための予算の確保を行ってほしいと考えます。
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6 子ども・保護者の負担を最小限にする努力を
 保育園は幼い子どもにとって第二の家庭であり、慣れ親しんだ保育士がいっせいに入れ替わることは、大きな心の負担になります。また、保護者や事業者にとっても、移行は現実にさまざまなリスクや不安を伴うものとなります。子ども、そして親にもやさしい、ゆるやかな移行がされるように、事業者決定後、移行までに十分な準備期間を設け(1年以上)、その間に、事業者が公立保育園の保育内容や子どもの状況を把握し、職員の採用・異動、研修、チームワーク作りを行い、保護者や行政と打ち合わせを重ねて信頼関係をつくり、移行直前には一定期間の合同保育(新事業者の保育士と公立保育園の保育士の共同保育)を行うことができるようにするとともに、そのための予算の確保を行ってほしいと考えます。また、適格な非常勤職員の継続雇用、必要な場合は公立職員による移行後のフォローについても検討すべきと考えます。

(7条 全体)
7 責任の所在明確に
 民間の運営になっても、児童福祉法に基づく保育事業は引き続き自治体が責任をもって行うものであることを明らかにし、移行後も定期的な監査を励行するなど監視・チェック体制を明確にするとともに、問題発生時の対応(苦情の受付、事業者の指導、職員の教育)も怠らないことを確約し、保護者に対して、責任の所在をはっきり示してもらいたいと考えます。
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7 移行後の責任の所在明確に
 民間の運営になっても、児童福祉法に基づく保育事業は引き続き自治体が責任をもって行うものであることを明らかにし、次のような形で保護者に対して、責任の所在をはっきり示してもらいたいと考えます。
・行政・保護者・事業者の三者が定期的に意見交換をする場を設けること。

・ 移行後も定期的な調査や保護者アンケートなどによるチェック体制を明確にするとともに、問題発生時の対応(苦情の受付、事業者の指導、職員の教育)も怠らないこと。事業者の不適格性が明らかになった場合の対処法も事前に明らかにしておくこと。
・子どもたちに質の高い保育を提供するために必要な運営費の保証、施設整備や職員育成のための援助など、事業者の支援を行っていくこと。

(8条 解説)
<追加>→また、選ばれた事業者がこのような事業を行うために必要な公的機関や専門機関との連携等を、行政が援助していく必要があると考えます。

(補足)公立保育園が存在することの意義

(1項 タイトル)
1) 
事業者としての責任を「公」に→1)公共を軸とした事業の担い手として
(1項 解説)
…一方で、「公」の直営施設が存在し、行政が保育サービスの提供者として直接責任を負ってきたからこそ、日本では保育園の整備がここまで進んできた経緯があります。元から民間に補助金を出すだけの事業であれば、ここまでの整備はありえなかったと思われ、その原点を示す公立保育園の存在は、社会の意識に与える影響からも大きな意味をもっていると思います。
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…一方で、「公」の直営施設が存在し、行政が保育サービスの提供者として直接責任を負ってきたからこそ、民間事業者も公的事業の担い手としての認識を堅持してきた経緯があります。また、どこかで民間事業者では対応できない事業環境やニーズの発生があったときは、「公」が引き受け手となって子どもを守っていくことが求められることも認識しておく必要があります。

(5項 解説)
…・子どもの育ちにさまざまな不安が広がる今、公立保育園の安定した雇用により必要な専門知識を身につけ、個別対応をていねいにできる資質を備えた人材が確保され、育てられること。
・今後、保育に多様な事業者が参入してくるとき、職員への教育訓練等が不十分になっていく恐れがあるが、公立保育園がその組織力を活かして民間を援助し、実地研修や情報・技術の交換などを中心となって行うこと。
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…・子どもの育ちにさまざまな不安が広がる今、公立保育園の安定した雇用により必要な専門知識を身につけ、個別対応をていねいにできる資質を備えた人材が確保され、育てられること。その人材が、保育園での保育経験を活かしつつ、保育園のみならず、さまざまな子育て支援事業や子ども関係事業などにも活用されること。
・今後、保育のあり方が多様化し、さまざまな事業者が保育を行うようになるとき、職員への教育訓練等が重要課題になる可能性があるが、公立保育園が蓄積された経験と組織力を活かして民間を援助したり、公・民をつなぐ交流研修や情報・技術の交換なども中心となって行うなど、地域全体の保育のレベルアップに貢献すること。

<全体量増大のため、末尾の注釈を割愛> 
<削除>→ 最後に、公立保育園の民間委託・民営化の際に、民間とのコスト比較がなされますが、比較対象があるために保育園が特に厳しく取り扱わることに疑問をいだいています。公務員の人件費負担が住民にとって重荷になっているとすれば、それは行政部門全体の問題であり、行政の本体の制度の中でムダを少なくしていく努力が必要なのではないでしょうか。業務の安易な委託がリスクや質の低下を招き、かえって事後のコストを増大させる場合もあるはずです。本体からの改革をしっかりとやることなく、「民間でやれるものは民間に」というのは、本来的ではないと考えます。

以上