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子どもと親を助ける法律&制度

保育園の対応に不満や問題があった場合や育児に関する会社との交渉に役立つ法令や制度を紹介します。

■CONTENTS■

 保育園がおかしいと思ったとき 

●まずは保育士と相談してみましょう

 子育ての方針をめぐって、保育園や保育士に不満や不信感があったら、まずは話し合ってみましょう。家庭で子育ての方針があるように、保育者にも保育者の方針ややり方、考え方があります。相談として話をすることでその考えの背景が見え納得できることもあるし、意見を聞いて保育士が方向転換をしてくれることもあるでしょう。「子どもは人質」的な意見を聞くこともありますが、このような考え方は自分自身も不満をためやすく、子どもにとってもマイナスにしかなりません。保育士と親は子育てのパートナーの関係です。なるべく冷静に、自分や子どもが何に困っているのかを事実として伝え、いっしょに解決方法を考えてもらう話し方をしましょう。むしろ、そんな理性的な態度が、相手に自分を振り返らせる動機になります。
 もしも、担任とうまく話し合えなかったら、主任保育士、園長などに相談してみましょう。保育士の考え方が個人的なもので園の考え方とは違う場合もあります。また、父母仲間や父母会に相談してみると、自分の不満が妥当なのか、問題の核心は何かが整理できるでしょう。自分と同じ悩みをもっている人がいれば、複数の意見として保育士や園に伝えることができます。

●苦情解決の方法

 園の方針自体に疑問があるときはどうすればいいのでしょう。その保育園の保育内容が妥当であるかどうかは「保育所保育指針」や「第三者評価基準」などのガイドラインで判断できます。
 相談だけで問題が解決できずにこじれた時には、苦情を文書にして保育園に提出しましょう。園は保護者の苦情に耳を傾けなくてはならないと法律で義務付けられています(児童福祉施設最低基準第十四条の三)。さらに苦情解決のための第三者委員を施設ごとにおくことも指導されています。
 保育園との相談や交渉で解決できない時には、区市町村の担当課に苦情を上げることになります。また、都道府県には「福祉サービス運営適正化委員会」が設置されています。認可保育所はもちろんのこと、認可外の保育施設でも補助金を受けている施設は、市や区、都道府県などの責任の範囲内にありますから、役所も相談に応じなくてはなりません。(下図)


 園との交渉、役所との交渉にあたっては、「親の身勝手ではない」ことを客観的に主張したほうがよいでしょう。子どもの発育にとってどうか、親の就労状況が配慮されているか、園の考え方が世間一般のスタンダードなのか、他地域、ほかの園などはどうしているのか、といったことについて、自分の意見を整理したり、情報を集めたりしてみてください。このとき、父母会などの保護者組織、その連合体などがあれば、相談するのもよいでしょう。
 ネグレクトや体罰、いじめなどの深刻な問題も絶対に起こらないとは限りません。「お母さんが考えすぎ」「神経質すぎる」などと言われて、なおさら傷つくこともあるでしょう。こういうときには、第三者の機関を探して頼ることも必要です。

 子どもと親を助ける法律&制度(保育関係) 

●保育所保育指針

 「保育所保育指針」とは保育所における基本的な保育内容を厚生労働省が定めたもの。2009年4月改定施行より厚生労働大臣告示となり、最低基準に準じるものとなりました。この保育指針をもとに自治体が保育所を指導監督することになっています。
「保育所保育指針」全文はこちら*2017年4月1日告示
「保育所保育指針」解説はこちら*旧指針のもの。新指針は未発行。

●認可外保育施設指導監督基準の指針

 認可外保育施設の指導監督は都道府県などが行うため、自治体ごとに異なります。この指針は厚生労働省が作成したものです。この指針をもとに都道府県ごとに指導監督基準が作られます。
 指針のポイント:
1.(1)保育者の配置は概ね児童福祉法最低基準に準していること
(2)概ね3分の1以上が有資格者であること
2.(2) 保育室の面積は、概ね乳幼児1人当たり1.65平方メートル以上であること
5.(1)エ.漫然とテレビやビデオを見せ続けるなどの放任的保育の禁止
認可外保育施設指導監督基準の指針(全文)

●第三者評価基準

 福祉サービス第三者評価事業は厚生労働省により「個々の事業者が事業運営における問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけることを目的とするものであること。なお、福祉サービス第三者評価を受けた結果が公表されることにより、結果として利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること。」とされており、社会福祉法第78条第1項では、「社会福祉事業の経営者は、自らその提供するサービスの質の評価その他の措置を講ずることにより、利用者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならないこと」と定められています。
 この第三者評価を行うために、厚生労働省が評価基準ガイドラインを示し、それを基に都道府県が第三者評価基準を設けています。この評価基準には保育園への強制力はありませんが、保育園のあるべき姿を厚生労働省が示したものとして間接的に大きな影響力があります。
(保育所)福祉サービスの第三者評価基準(厚生労働省HP内)

児童福祉法

 児童福祉法は子どもの権利とそのための大人の義務を定めた、保育所運営の根拠となる法律です。
保育関係の条文のポイント:
・第24条 行政の保育実施責任
・第24条3 公正な方法での選考
・第24条5 行政の情報提供義務
・第45条 最低基準
・第48条の3 保育所の育児相談の努力義務
・第48条の3の2 保育者の研修
・第56条3 家計に配慮した保育料の設定

●児童福祉施設最低基準

 児童福祉法45条に基づいて厚生労働省が定める省令で、強制力があります。
保育関係の条文のポイント:
・第3条 行政による最低基準の向上の努力義務
・第4条 施設による最低基準以上の設備運営の努力義務
・第7条 職員の知識・技能の向上
・第9条 差別の禁止
・第9条の2 虐待の禁止
・第9条の3 体罰の禁止
・第11条 変化に富んだ食事
・第14条の2 守秘義務
・第14条の3 苦情への対応
・第32条2 乳児室の面積一人につき一・六五平方メートル以上
・第32条3 ほふく室の面積一人につき三・三平方メートル以上
・第32条6 保育室の面積一人につき一・九八平方メートル以上
・第32条6 屋外遊戯場一人につき三・三平方メートル以上
・第33条1 職員配置乳児おおむね三人につき一人以上
       満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね
六人につき一人以上
       満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね
二十人につき一人以上
       満四歳以上の幼児おおむね
三十人につき一人以上
・第36条 保護者と密接な連絡
児童福祉施設最低基準(保育関係抜粋

 職場がおかしいと思ったとき 

●会社や上司の無知・無理解で損をすることがないように…

 少子化の対策として、育児のための法整備は少しずつ進んできています。しかし、法律をよく知らない上司や人事担当者がいたり、法律に罰則がないなどの理由で知っていても積極的ではないという場合もあります。そんな場合には働く者としての権利、出産・育児をする親としての権利をよく理解して、うまく会社や上司と交渉することが必要になります。「そうは言っても自分のキャリアに傷がついたり、居場所がなくなるのではないか?」「労働者の権利と言っても、うちの会社では無理」という心配もあるかもしれませんが、仕事を辞めたり無理な育児環境を受け入れる前に、制度の活用を検討して、会社や上司に相談・交渉をしてみましょう。

●妊娠や出産に関わる親の権利

通勤がしんどい つわりの時やお腹が大きくなってきた時、満員電車での通勤はつらいもの。母子健康法に基づく保健指導(お医者さんの診断書など)があった場合には、時差出勤、フレックスタイム、あるいは一日一時間程度の時短を職場に申請することもできる。(男女雇用機会均等法23条)
通院する時間がない 妊婦検診や母親学級などは平日の午前中になっていることが多い。申請すれば必要な時間、仕事を抜けさせてもらえる。(男女雇用機会均等法22条)
立ち仕事が腰にくる 邪魔なお腹で変な姿勢になるせいで立ち仕事がつらいとか、寒い場所にずっといるとお腹が張るとか、普段の普段のローテーションがこなせないという場合にはお医者さんの診断書を取るなどすれば、仕事の調節をしてもらえる。(男女雇用機会均等法23条)(労働基準法第65条)
残業がこなせない 請求すれば時間外労働や深夜業を免除されます。(労働基準法第66条)
産後休暇は強制 産前6週間(多胎児なら14週)、産後8週が保障されています。本人が働きたいと思っていても産後6週間を超えていて、医師の診断書がない限りは働くことはできません。(労働基準法第65条)

●育児に関する権利

子どもが0歳の時 子どもが0歳児の間の女性は「妊産婦」と定義されています。ですから、妊娠中と同様に残業免除や負担軽減などの制度はそのまま使用できます。その他に、育児時間として一日2回30分ずつ(またはまとめて一時間)を取ることが認められています。これらを遅出や早退に使うこともできます。(労働基準法第67条)
子どもと一緒にいたい 民間企業に働く男女社員は、子どもが満1歳になる前日まで育児休業を取得できます。保育園に入園できなかったなどの事情がある場合には、育児休業を1歳半まで延長することもできます。これらは、法律の最低基準なので、法定以上の育児休業制度を設けている会社もあります。(育児・介護休業法第5条)また公務員の場合は、満3歳になる前日までが取得可能期間です。(国家公務員の育児休業等に関する法律第3条)(地方公務員の育児休業等に関する法律第2条)
育休期間中は健康保険、厚生年金保険の保険料が免除されます。(健康保険法第71条)(厚生年金法第81条)また雇用保険より支給される賃金の40%相当の育児休業給付金がもらえます。(雇用保険法第61条)
子どもが病気の時 2005年の育児・介護休業法の改正により、子どもの病気を理由に年に5日まで休むことが認められるようになりました。これは子ども一人当たりではなく、労働者一人当たりなので夫婦で取れば年に10日になります。(育児・介護休業法第16条)
仕事の時間を減らしたい 3歳未満の子どもがいる親(男女とも)が勤務時間短縮などを取れるようにする措置が事業者に義務付けられています。3歳以上の未就学児についても努力義務が課せられています。(育児・介護休業法第23条)また、残業時間については請求をすれば1ヶ月24時間、年間150時間までとすることができます。(育児・介護休業法第17条)
深夜勤務の免除 未就学児がいる親が請求をすれば深夜勤務(午後10時〜午前5時)が免除されます。(育児・介護休業法第19条)
転勤への配慮 転勤により育児が困難になる場合には会社は配慮をしなければなりません。(育児・介護休業法第26条)
不利益取り扱いの禁止 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(育児・介護休業法第10条)
妊娠または出産・産休を理由としての解雇その他の不利益を禁止する。妊産婦の解雇の無効(改正男女機会均等法第9条※平成19年4月施行)

 子どもと親を助ける法律&制度(労働関係 

労働基準法

昭和22年に制定された有名な法律です。これに違反している場合には労働基準監督局に訴えることができます。
出産・育児関係のポイント:
・6週間の産前休業(多胎児は14週)(第65条)
・8週間の産後休業(第65条2)
 ※産休は強制です。以下は申請があった場合のみ適用されます。
・妊娠中の軽易な業務への転換(第65条3)
・妊産婦の残業時間の制限(第66条)
・妊産婦の休日勤務の制限(第66条2)
・妊産婦の深夜業務の制限(第66条3)
・1歳未満児がいる女性には1時間の育児休憩(第67条)
⇒労働基準法の全文はこちら(hoiku.com)
労働基準法の女性関係抜粋

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

正式には長ったらしい法律名ですが、一般的には「育休法」「育児・介護休業法」などと呼ばれています。平成3年に制定され、定期的に見直され、改正されました。 <平成21年7月改正のポイント>
○3歳までの子を養育する労働者について、短時間勤務制度(1日6時間)を設けることを事業主の義務とし、労働者からの請求があったときの所定外労働の免除を制度化する。
○子の看護休暇制度を拡充する(小学校就学前の子が、1人であれば年5日(現行どおり)、2人以上であれば年10日)。
○父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月(現行1歳)までの間に、1年間育児休業を取得可能とする(パパ・ママ育休プラス)。
○父親が出産後8週間以内に育児休業を取得した場合、再度、育児休業を取得可能とする。
○配偶者が専業主婦(夫)であれば育児休業の取得不可とすることができる制度を廃止する。
○苦情処理・紛争解決の援助及び調停の仕組みを創設する。
○勧告に従わない場合の公表制度及び報告を求めた場合に報告をせず、又は虚偽の報告をした者に対する過料を創設する。
【施行期日】平成22年6月30日(ただし、一部の規定は、常時100人以下の労働者を雇用する事業主については平成24年7月1日)。最後の項目は、調停については平成22年4月1日、その他は平成21年9月30日。
⇒育児・介護休業法の全文はこちら(houko.com)

男女雇用機会均等法

正式な法律名は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」といいます。妊婦の検診や仕事軽減の条文が以前からありましたが、平成18年の法改正により平成19年4月からは「妊娠出産を理由にした不利益の禁止」と「妊産婦の解雇の無効」条項が付け加わります。
平成18年時点での法律のポイント:
・妊産婦の健康診断・保健指導受診の権利(第22条)「事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法 (昭和四十年法律第百四十一号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければならない。」
・母子健康法に基づく保健指導があった場合の仕事軽減の権利(第23条)「事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければならない。」
平成19年度からの法改正のポイント:
・妊娠・出産を理由とする不利益の禁止(改正法第9条3)
・妊産婦の解雇の無効(改正法第9条4)
⇒男女機会均等法の全文はこちら(houko.com)

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