分科会レポート 2000年6月に開催されましたCAP分科会の レポート (機関誌『つうしん』78号掲載)を公開します。 イベントのレポートとともに、地域で開催した経験談も掲載してありますので、検討材料に なればと思います。 CAP分科会(2000.6.10 エコ豊島) CAPとは Child Assault Prevention (子どもをいじめや暴力から守る教育プログラム)の略。 アメリカ生まれの防犯セミナーで、日本でも関西を中心に各地で開かれるようになってきました。 当会も、会員の多くが就学前後の子どもを抱えていることから、未就学児向け・小学低学年 向け・大人向け計3本のワークショップを開催しました。 ◎講師:講師派遣グループ「CAP青い空」から7名 ◎年長・年中児向きワークショップ:参加5名 小学生低学年向きワークショップ:参加21名 大人の学習会:参加28名 (以上、3室に分かれての学習会) ★未就学児・小学生向きワークショップ おおまかに以下のような内容を、講師と子どもたちとで考えながら学習します。 内容は、未就学児と小学生とでは多少違いますが、どちらも、進行に際して、子どもが 怖がったり嫌な気持ちにならないよう、細やかな配慮が組み込まれています。 食べること、寝ることなどと同様、「安心して生きること」「自信を持って生きること」 「選択の自由があること」の3つは、だれもが持っている権利。もしこれを取られると、 生きるていくことがつらくなったりする。それでは、どうすればこの3つを守ることが できるか、ロールプレイ(役割劇)を見ながら考えてみよう。 (ここで講師による「いじめられるロールプレイ」「知らない人に誘拐されそうになる ロールプレイ」「知っている人にキスされそうになるロールプレイ」の上演。併せて、 それぞれに対する成功例も上演され、こちらには子どもも参加できる。危険に遭遇 した時の特別な叫び方(お腹の底から「ウォー!」)を出す練習も体験する。) こうして、大切な権利が取られそうなときに、以下のような方法もあることを知っておこう。 NO・・・・・・・「いやだ。」「やめて。」という意志を表明すること。 GO・・・・・・・その場から逃げること。 TELL・・・・・起きたことを誰かに相談すること。 暴力に直面して困っている友達に協力すること、自分が困っている時に友達に協力して もらうこともできる。誰か大人に相談するとき、もし1人目に聞いてもらえなかったとしても、 2人目3人目と、信頼できる大人に出会えるまで探そう。 ★大人向き学習会 前半では、子ども向けワークショップの内容を再現してもらい、子どもの気持ちに返って 体験します。後半では暴力の定義や子どもと接する時・話を聞く時などの留意点などを 学習していきます。 ★「大人の学習会」参加者の感想より(抜粋) ・子どもの話を聞かないで怒鳴っていたことがあるので、反省! 「子どもが泣いていたら泣き 終えるまで見守る。『泣かないで話してごらん。』『泣いたってしょうがない』『泣かないで がんばろう』とは言わない」等々の内容にも反省!。私はこれを言っていた。子どもに 「恐かった体験を親に言ってはいけないんだ」と感じさせるような状況を、親の方で気付かぬ まま作り出している可能性を気付かされた。 ・子どもにたたみかけて聞き出しそうな自分に気付き、反省。「逃げる」「その場にいない」と いうことも、1つの方法なんだということを子どもと確認したい。父母会でも提案したい。 PTAでもやってもらいたい。 ★小学生のアンケートから(抜粋) ●今日のワークショップはどうでしたか? 楽しかった 15 まあまあ楽しかった 3 つまらなかった 1 無回答 2 ●「安心」「自信」「自由」の権利について? よくわかった 16 わかった 2 少しわかった 1 わからなかった 0 無回答 2 ◎親の会でもCAPを…! 親の会でのこの分科会開催を思いついたのは、2月の当会のオリエンテーション 「はじめての小学校&学童保育」のとき。 この日の質疑応答のコーナーで続々と出される不安や戸惑い、あるいは先輩ママの反省の 弁に「CAPを体験していれば、このいくつかは解決(解消?)できるかも…」と思いいたったから でした。 親という身になってみると「子どもをどう守れるか」という不安はいつでも付きまとうもの です。何をしても万全ということはない事柄なのでつい、近所の情報、例えば「どこそこの公園が 危ない」「○○ちゃんって乱暴なんだって」などの噂を頼りにしたり、学校から出される「子どもが 出かけるときは行き先を聞いてから」などのプリントを鵜呑みにしたりしがちです。 ですが、親が子どもに常に張り付いていることは不可能です。また、こういう物騒な世の中に なった以上、子どもにも親にもその中で生きていく腹のくくり方が必要だ と感じていました。 ですからCAPというものに出会い、ここの考え方が「新しい常識」として力になるのではないか、 と思ったのでした。 ◎大人としてもノウハウが欲しい! これまでのいじめ・暴力に対する考え方や対処法は、「子どもに対する行動規制」型に傾き がちでした。「暗くなったら〜に行くな」「〜といった行動はしない」、果ては「○○ちゃんに近寄る な」「それくらい我慢しなさい」。 聞きようによっては「悪い人はし放題」「正義は勝てない」「自分達は無力」「被害に遇った方に スキがあった」みたいなメッセージで、これでは子どもたちに良い影響のあるはずがありません。 CAPの特徴は、まず「暴力はいけない。何故ならば…」から出発すること、また、 いじめ・暴力と遭遇した場合の対処法(No,Go,Tellなど)を疑似体験できることの他 に、友達と助け合うことや、信頼できる大人へのSOSの出し方がしっかりと組み込れ ている点、加えて大人の講座では、子どもからのSOSをキャッチする方法や、大人が 無意識に子どもの心を傷つけないためのポイントなど、知っているようで知らないノ ウハウで構成されている点です。 ◎「安心」「自信」「自由」のちから もう1つ、話は戻りますが、「初めての小学校&学童保育」で話題になったのが 「子どもが学童保育がいやんなちゃった時」対策についてでした。 この日の講師の野中先生は「子どもにはいろいろな心理的なハードルがあるのが当 たり前。ポイントとして『自分の家族はこういう形なんだ、自分の生活はこれでいい んだ』という子ども自身の主体的な認識があれば、子どもはそこを乗り越える力を発 揮する。親はハードルを取り 除くのではなく、共感しながら支えてほしい」との見解を示しておられました。 CAPでもこれは全く同じ。子どもたちが乗り越える力、解決していく力を発揮す るためには、子どもの選択を尊重し、大人はサポートする姿勢であることが大切、と いうのが基本的な考え方です。 果たして私たちは、次世代である子どもたちの力を削いでしまうような「不安で」 「自信のない」「選択の自由もない」社会を押し付けてはいないか、考えてみる必要 があるのではないでしょうか。(世話人:内田ちえ子、梶田裕子、別当律子、野村史子 麓幸子、レポート:梶田裕子) CAP開催体験記
<from 梶田裕子>〜あなたにもできる"CAP"の開き方〜 ◎自分たちで開く、地元でのCAPの方法 レポートでも書きましたが、CAPの学習会は本来、子どもたちが普段生活する集団 (小学校・保育園・学童など)で行われることが好ましく、効果的であるとされていま す。例をあげると、葛飾区では教育委員会がCAPを授業の中で取り入れることを決め 、派遣グループの1つ「グループCAP」に依頼して、区内全小学校での開催を進行中 とのことです。 しかし、一握りの親がCAPを望んでも、学校・PTA・父母会などが必ずしも承諾 してくれるとは限りません。原因として(表向きには)、予算や定員がネックになるこ ともありますが、ひとつにはCAPが一種の「人権教育」であること、これが微妙に関 係者をびびらせてしまうのかもしれません。「宗教や政党がからんでいるんじゃないの ?」というような声が遠回しに聞こえてくることも、度々でした。 私の場合も、いくつかのCAPワークショップを体験した上で、資料を揃え、これら 地元の団体にCAPの開催を願い出たのですが、なかなか叶いませんでした。 そこで 、同じ地域の有志で話し合った結果、とりあえずグループとしての体裁を整え、区に学 習団体の登録をすることにしました。これで、区の集会施設が、無料かそれに近い料金 で使用することが可能になったわけです。 次の問題は、どうやってお知らせやチラシを配るかということでした。これは、保護 者会の日に校門前で交代でチラシを配り、あるいは公文やスポーツクラブ・子供会など 、親の来そうなところに置かせてもらうという方法をとって解決。 次は、申し込みをどう受け付けるかです。これは有志の1人に、申し込み期間だけ電 話をファクス優先モードにしてもらい、申し込みは「原則ファクス」ということにしま した。またこの他にもう1人「問い合わせ」専門の世話人も用意しました。 CAPを呼ぶ費用も頭の痛い問題でした。なにしろ、こちらはプールされたお金なん てないのですから…。そこで、参加者から1人500円を集めることにして、この他にも カンパ箱を会場にも用意しました。 結局、このときは赤字になり、地域有志グループのメンバー4人で折半しました。こ れも、この私たちのCAPで、次からPTAなどお金のあるところがやってくれる引き 金になれれば…との気持ちで、精神的にはクリア。赤字にならないようにするには、お そらく参加者1人当たり1500円くらいの参加料が目安になるのでは、と思いました。ま た自治体によっては、学習団体にいくばくかの補助金を出してくれるシステムもあるよ うなので、これを利用するのも手かもしれません。 以上、個人的なことを書きすぎだとお叱りを受けるかもしれません。でももし、どな たかが、どこかに「CAPをやりたいんだ、こういう気持ちなんだ」と知らせたいとき に、この文章が少しでも何かの役に立てれば…、という気持ちで書かせていただきまし た。 ====================================== <from 森田千恵> ◎保育園と小学校でCAP講習会を開催 私がCAPを初めて知ったのは、今をさかのぼること4年前。友人から誘われて表参道 のウィメンズプラザでのワークショップに参加したときでした。 そのときの強烈な印象は忘れられません。従来のやり方、考え方と違って、子ども自 身に自分のことを守るべき存在であるということを教える、その考え方に惹かれました。 そして長女の三鷹市の公立保育園時代、年長組のとき、父母会でCAP講習会を開催。 次年度から小学校に入る長女のために、実現させました。25名前後の参加者でしたが、子 ども自身に自信と力をつけさせる内容は参加者それぞれの方にとても手応えがあったよ うです。ちょうど神戸の小学生殺害事件のあった年でした。 その後、小金井市に転居して長女は市立小学校と学童保育に通う生活になりました。 日々無事に過ぎていくものの、小さな事件やいやがらせなどを耳にするにつけ、またCA Pを受けさせたいという思いが強くなっていきました。ちょうどタイミングよく、PT Aの会長さんがCAPに興味をもっていることを知り、CAPのすばらしさと講師を紹介でき る旨を伝えたところ、とんとんと話が決まり、長女が2年生だった昨年度、PTA主催で 講習会を開催し、小学校全学年の希望者が受講することができました。もちろん大人向 けの学習会も開かれました。小金井市は他の小学校もCAP講習会をPTAで開催しており、 職員の方も非常に興味をもっていらっしゃいました。私の長女の参加したCAPワークシ ョップにも、小学校の全職員が参加するという熱心さでした。さらに今年度は3年生全 クラスの授業でCAPを実施、4〜6年生は希望者がPTA主催のCAP講習会に参加となりま した。 そして今年2月には、次女の公立保育園父母会主催でCAP講習会を実施。大人向け学 習会、子ども向けワークショップとも好評でした。主に保育園の場合にしぼって、Q&A形 式で開催するポイントを書いてみます。 <保育園の場合> Q.CAPの子ども向けワークショップは何歳から受けられるの? A.対象年齢は4、5歳児です。大人向け学習会はもちろん全年齢の子どもの親が受け られます。そのため、父母会の費用をあてる場合、私の保育園で行ったときは、大人向 け学習会とその際の保育料に父母会費をあて、子ども向けワークショップは受講料を参 加者から徴収し、CAPへの支払いにあてました。3歳児以下は子どもワークショップを 受けられないので、不公平感を防ぐためです。大人向け学習会は大人のみが原則なので 、保育が必要です。 Q.1回に受講できる子どもの人数は? A.4、5歳児は20名が適当な人数と言われています。あまり多いと子どもが直接参加 できない(講師の人と問答しながらやるので)し、集中できないからです。大人向け学 習会は人数の制限はありません。 Q.CAPはどのくらい前から予約したらいいの? A.CAP講習会は今、各地で開催しようとしている団体が増えています。だいたい半年 前に予約することが必要でしょう。現在日本では、各地にこの講師を派遣してくれるグル ープが100ほどあり、PTA・父母会・学校などから派遣要請があると、出前授業のよ うな形で講座(ワークショップ)を 開いてくれるシステムになっています。 Q.CAP講習会を開いたとき苦労したことは? A.まだ知名度が低いので、集客できるかどうかに気を使いました。講師料もある程度 かかるため、参加料を集める必要があったので、赤字にならないか気をもみました。保 育園児対象の場合でも、上の子で小学生の子も参加OKにしたり、送り迎えのとき参加 を呼びかけたり(口コミが一番効果的!)、チラシを2回配布したりして人数を集めま した。また、当日は特に子どもワークショップは遅刻厳禁なので、前もって配っておい たチラシでそのことを伝えておきました。未就学児の場合、2回(30分+40分)を 別の日に分けて受講するため、参加者への連絡の徹底、場所の設営などにも手間がかか りました。 *保育園児にもCAP講習会は有効です。小さいとき、なんでも柔軟に吸収するときに、 自分を大切にすること、自分を守ることを教えることはとても意味があると感じました。 「いじめ」に関するロールプレイもありますので、自分も他人も尊重することが学べた のではと思っています。また、親にとっても勉強になります。CAP事務局では、他の学 校・保育園などで行なう講習会で見学できそうなところを紹介してくれます。百聞は一 見にしかず。まず自分の目で見てよさを確かめて、さらにあなたの地域で開催してみて ください。
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